受注生産とは?メリットやデメリットを詳しく解説

受注生産とは?メリットやデメリットを詳しく解説

製品を生産するにあたって、タイミングや個数は非常に大切なポイントです。
注文のタイミングに合わせて生産を行う受注生産は、環境を守る観点から注目されています。
とはいえ、あらかじめたくさんの製品を作る見込み生産が主流の現在、受注生産はハードルが高いと感じる人も多いでしょう。

今回は、受注生産の概要やメリット、デメリットについて詳しく解説します。

受注生産とは

受注生産とは

製造業の多くは、顧客の受注を待たずに生産を行う見込み生産を導入しています。
例えば、アパレル製品や雑貨類などの大量生産や、建売住宅などは見込み生産のひとつです。

見込み生産の場合、緻密な計算を行なって生産計画を立てる必要があり、計画を怠れば大量の在庫を抱えることになります。
反対に、需要があるのに商品が足らないというリスクも考えられるでしょう。

一方、受注生産は、顧客からの注文が入ってから生産を行う方法です。
需要と供給が合致するため、無駄のない生産方法として、近年評価されています。

大量生産が抱える問題

大量生産が抱える問題

SDGsが広く浸透し始め、持続可能な社会が謳われる昨今、大量生産は大きな課題となっています。
見込み生産により多く作られた製品は、安く購入できるといったメリットもありますが、ほとんどの製品が使い捨てです。
そのため、連日多くのゴミが排出されるだけでなく、生産のために使われたエネルギーや資源も無駄になってしまいます。

実際、THE WORLD BANKの情報によると、世界で排出されるゴミの量は2016年の時点で20.1億トンでした。
2050年までにはさらに70%も増加するといわれており、その原因のひとつとして大量生産も該当します。

参照元:緊急対策が講じられない限り、世界の廃棄物は2050年までに70%増加: 世界銀行報告書|THE WORLD BANK

受注生産の種類

受注生産の種類

受注生産は、大量生産や大量消費による課題をクリアするうえでも力を発揮する手段です。

受注生産を大きく分類すると、「繰返受注生産」と「個別受注生産」の2つに分けられます。
それぞれの特徴について詳しく確認しておきましょう。

繰返受注生産

同じパターンの製品を繰り返し生産する手法を、繰返受注生産といいます。
初めて注文をする際に、明確な仕様を決めておくことで、2回目以降にすり合わせをすることなく製品を生産できる効率の良さが魅力です。
生産管理もしやすく、無駄のない生産にも繋がります。

例えば、自動車や家電などの規格が一定の製品は、繰返受注生産が導入されるケースが多いでしょう。

個別受注生産

繰返受注生産とは異なり、注文する度に仕様を調整したり異なるパターンを受けたりする手法が、個別受注生産です。
プロトタイプを生産する際やたくさんの種類を少しずつ作る際に導入されています。

オーダー家具や大型の機械などを生産する際に個別受注生産が取り入れられることが多いでしょう。

受注生産のメリット・デメリット

受注生産のメリット・デメリット

受注生産は、無駄なく生産を行ううえで注目されている手法ですが、様々なメリットやデメリットがあります。
続いては、メリット・デメリットについて詳しくみていきましょう。

売り手側のメリット:品質向上や在庫の管理がしやすい

売り手側が得られる大きなメリットのひとつが、品質向上です。
注文ごとにじっくりと生産するため、顧客に対しても丁寧な対応ができるようになります。
その結果、品質向上にも繋がり、顧客の満足度も上がりやすくなるでしょう。

また、無駄な在庫を持つ必要がないため、需要にマッチする在庫を保てる点もメリットといえます。

買い手側のメリット:希望通りのものが得られる

受注生産であれば、じっくりと自分の希望を作り手に伝えられます。
大量生産の商品の場合、細かい部分にこだわることは難しいでしょう。

しかし受注生産は、コスト面やディティールなど、納得がいくまで相談することが可能です。

売り手側のデメリット:納品までに時間がかかる

受注生産の場合、どうしても注文を受けてから納品までに時間がかかる点はデメリットといえます。
繰返受注生産の2回目以降はスムーズに生産できますが、初めて生産を行う際や個別受注生産では、設計や開発に長い時間を費やさなければなりません。
生産途中の段階で仕様変更を依頼されるケースもあり、当初の予定より長引くケースも多いでしょう。

また、完成に時間がかかれば、需要が高まるタイミングを逃すことも考えられます。

買い手側のデメリット:完成品を見る前に契約をする必要がある

大量生産の商品は、すでに完成したものを見て、購入するかどうかを決められます。
一方、受注生産は完成品を見る前に契約をする必要があり、結果的にイメージとかけ離れていたとしても契約上キャンセルできないケースも少なくありません。

また、大量生産の商品よりもコストがかかる点も、買い手にとってのデメリットといえます。

受注生産を取り入れている事例

受注生産を取り入れている事例

近年、受注生産は業種を問わず、様々な業界で導入されるようになりました。
続いては、受注生産を取り入れている事例を2つ紹介します。

アニメグッズの受注生産

人気の漫画雑誌ジャンプでは、アニメグッズの受注生産を手がけています。
日本のアニメは、世界中から注目を集めており、アニメグッズも多くの人が手に入れたいと思うアイテムです。
生産数を限定して販売することもありますが、すぐに完売してしまううえに、転売を目的とした人が購入していたというケースも少なくありません。

受注生産を導入したことによって、本当に欲しい人が手に入れられるようになります。

参照元:完全受注生産 「週刊少年ジャンプ」オールスター缶バッジ 『ONE PIECE』 [34 バギー]|ジャンプストア

環境に優しい寝具メーカーの受注生産

イケシン株式会社では、オーダーメイドの寝具を取り扱っています。
受注生産にて受け付けており、体型や寝室の環境、地域などにマッチする寝具が手に入る点が大きな特徴です。

そのほか、レンタル布団のサービスを展開したり、エシカルダウンというリサイクルポリエステル100%の素材を導入したりと、サステナブルな社会に貢献できる活動を行なっています。

参照元:オーダーメイド|イケシン株式会社

まとめ

まとめ

受注生産と聞くと、どことなく特別な印象を持つ人も多いでしょう。
確かに、完成までに時間がかかる点やコスト面といったハードルの高さは否めません。
しかし、暮らしにおいて欠かせないアイテムの一部を受注生産に変えるだけでも、持続可能な社会に繋がります。

見込み生産と受注生産をうまく使い分けながら、誰もが心地よく暮らせる社会を目指しましょう。

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