日本で捨てられる洋服は年間15億着を超えるともいわれています。
エシカルな行動が求められるようになった近年では、洋服を寄付する動きも増えているのです。
古着寄付は社会貢献になるという声がある一方で、迷惑になっているという声もあがっているのです。
この記事では、古着寄付は迷惑なのかどうかを確かめるとともに、おすすめの寄付方法を紹介します。
古着寄付は迷惑?
近年、先進国から開発途上国への古着の輸出は増えています。2016年の調査によると、アメリカから約75万トン、ドイツから約50万トン、イギリスから約35万トン、日本から約24万トンでした。
一見すると善意に思える先進国からの古着が開発途上国にとって迷惑になるという声が上がっています。
一つ目の理由は、現地の衣類業界が衰退するからです。
アフリカ地域では、古着が一大産業になっています。品質の高い古着は現地で生産された衣服より価格が安いため、現地の人々のほとんどが古着を購入しているそうです。
2006年に行われたザンビアでの調査によると、1980年代に衣類製造関係の労働者はおよそ2万5000人でした。それが2002年には1万人以下に減少したのです。
先進国からの古着が流通した結果、現地の繊維産業が成長することなく衰退しています。
二つ目は、ゴミになるからです。アフリカの国々では焼却施設が十分に整備されていません。そのため、捌ききれなかった大量の古着は、処理しきれずに埋め立てられるのです。
ゴミの埋め立ては、環境負荷が大きく周辺の環境を汚染してしまいます。大量に送りすぎることは、開発途上国の環境問題に影響を与えてしまうといえるでしょう。
とはいえ、古着寄付が生活支援や医療支援としてプラスに働くこともあります。つまり、私たちは寄付する前に自分の古着がどのように活用されるのか理解しておく責任があります。開発途上国の人に困惑ではなく笑顔になってもらえるような寄付が求められているのです。
古着を寄付する前によく考えよう
古着寄付には、事前確認が欠かせません。古着の活用方法や寄付方法をしっかりチェックしましょう。
①回収した古着の使い道は?
まずは、回収した古着がどのように活用されるのかをみておきましょう。
- 国内の生活支援として活用される
- 開発途上国の生活支援として活用される
- 医療支援につながる
- リサイクル素材として使われる
など、寄付する団体や企業がどのような活動をしているのか知ることが大切です。回収の目的が明確に記載されていない場合は注意しましょう。
②寄付は無料か有料か?
寄付だからといって無料とはかぎりません。寄付にかかる必要や送料が自己負担の場合もあります。
事前に費用をみておくことで、寄付する側も後悔なく寄付できるでしょう。
③寄付方法は持参か郵送か?
寄付する方法は支援団体や企業によってさまざまです。自分で店舗や施設まで持っていく場合もあれば、自宅から郵送する場合もあります。
ただ郵送の場合は送料が自己負担になる場合もあるので、注意してください。自分にあった方法を選ぶようにしましょう。
【持参編】古着を寄付する方法
では、古着をどこに寄付したらいいのでしょうか。まずは、持参して寄付する方法を紹介します。企業や支援団体の特徴やおすすめする理由なども一緒にまとめました。
①H&M
大手ファストファッションのH&Mの古着回収は世界最大級です。
2013年から世界中の店舗に回収ボックスを設置し、古着回収を開始しました。ブランドや状態を問わず持ち込め、寄付するとデジタルクーポンがもらえます。
寄付された服は、古着として世界で販売されたり、リメイクや清掃用品などに再利用されたりします。または織物繊維に細断され、断熱材の製造などに使用されることもあるそうです。
②無印良品
無印良品は2010年から服を回収し、リサイクルする取り組みを開始しました。
藍色・黒などに染めなおすことで、新たな価値をもつ商品へ再生。染めなおした服の販売を展開しています。ほかにも服と服をつなぎ合わせてリメイクしたものの販売も実施しているのです。
回収したものをそのまま次の人へ渡すのではなく、手間とアイディアをプラスすることで誰かを笑顔にしているといえるでしょう。
参照元:無印良品|ReMUJI
③ユニクロ
ユニクロは寄付された服を、難民キャンプなどに寄付しています。とはいえ、ただ送っているわけではありません。寄付された先が困らないように、難民キャンプなどへ必要な分だけ届けます。
UNHCRや世界各地のNPO・NGOと連携し、ニーズや配送ルートを正確に把握しながら支援を進めているのです。
これまでに79カ国や地域に4,619万点を寄付しました。服を販売した先にある未来を見据えているといえるのではないでしょうか。
参照元:UNIQLO|衣料支援
【郵送編】古着を寄付する方法
次は郵送で寄付する方法をみていきましょう。
①古着deワクチン
古着を通して開発途上国へ医療支援を行っています。専用回収キット1口につき5人分のポリオワクチンが寄付される仕組みになっているのです。これまでに4,767,373人分のポリオワクチンが寄付されました。
専用回収キットは有料ですが、自宅にいながら社会貢献ができます。また、専用回収キットの製造や発送作業は、障がい者が担っていて、雇用の創出にも役立てられているのです。
最近では、一人暮らしの方向けのミニ版も展開されていて、誰もが気軽に利用できるサービスといえるのではないでしょうか。
参照元:古着deワクチン
②BrandPledge
BrandPledgeは、NPO・NGO等の団体へブランド品を寄付するサービスを実施しています。
ブランド品買取で知られる「ブランディア」と寄付プラットフォーム「Syncable」との共同サービスです。
大きな特徴は支援したい団体を自分で選ベること。ふるさと納税のように支援団体を自分の意志で決められるのです。
送られてくるダンボールに洋服やブランド品を詰めて送り返し、査定金額から寄付申請をするだけなので、非常に簡単に利用できます。
参照元:Brand Pledge
③いいことショップ
いいことショップでは、子どもたちを支援するために衣類や洋服の寄付を受け付けています。
集荷料金は無料ですが、送料は自己負担です。
こちらも自分が選んだ支援団体へ寄付できる仕組みになっています。
現在は、臨時でウクライナ緊急募金も支援先に含まれています。
個人だけではなく企業も寄付に参加可能です。また寄付の実績をホームページで公開しているので、信頼して寄付に参加できるのではないでしょう。
参照元:いいことショップ
古着寄付で明るい未来を
今回は古着の寄付についてくわしくまとめました。
あなたの思い出がつまった洋服が、寄付を通して役に立つかもしれません。ただ古着が開発途上国を困らせているという一面もあります。寄付する時は支援団体の寄付実績をよく確認しましょう。
今回のポイントをぜひ参考にしながら、愛用した服や眠っている不用品を寄付してみてください。心も家もスッキリと晴れやかになるかもしれません。